アナログ回路設計の教科書(日本語の本)
趣味でアナログ回路設計の勉強をしているので、せっかくなので今までに読んだ教科書の感想&おすすめリストをまとめておこうかと思います。思ったより長くなりそうなので日本語の本と英語の本で記事を分けました。
LSI設計のためのCMOSアナログ回路入門 (半導体シリーズ)
- 作者: 谷口研二
- 出版社/メーカー: CQ出版
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: 単行本
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とりあえず初心者ならこの本を何回か読み込むのが良いと思います。 アナログ回路って訳がわからない数式がいっぱい出てきてすぐ辞めたくなるんだけど、この本は回路の動作イメージをできるだけ簡単に説明しています。
私も最初はMOSトランジスタのことを全然分かってなかったんだけど、この本を読んだらアンプの動作とかオペアンプの基礎が理解できるようになりました。とりあえずアナログ回路を始めたい人におすすめの本です。
ラザビ本その1。英語版(原著)だと1冊なんですが、なぜか日本語版だと2冊(基礎編と応用編)に分かれています。ちなみに英語版は第2版が出たので、(英語でいいなら)そっちを買ったほうが良いと思います。
他のアナログ回路の本に比べると、結構数式が多くて解析的な感じ(いわゆる教科書的)がします。とりあえずアナログ回路を真面目にやりたいなら一通り理解しておくのが良いと思います。わりと必修な感じです。
この本を読むと代表的なアナログ回路の動作や限界が分かるようになる気がします。ただしオペアンプを使った応用とかはあまり書いてないので、オペアンプを手っ取り早く使いたい場合は他の本を読んだほうが早いと思います。この本はオペアンプの使い方ではなく作り方が書いてあります。
数式を全部覚える必要はないと思うんですが、例題とか教科書の数式の導出を自分で解き直してみると、すごく頭の体操になります。基礎編の内容&導出は全部丸暗記するくらいでもいいと思います。私は頭が悪かったので10回以上読み返しました。
VCOとPLLはラザビ先生の趣味でややマニアックなので飛ばしてもいいかと思います。他の章は基礎編と同じくやりこみましょう。特に、最後の方のレイアウトとパッケージの話はよく理解しておくと良いと思います。自分でレイアウトしたりPCBを設計したりするときに役に立つと思います。
CMOSアナログIC回路の実務設計―PWM電源コントローラの開発に学ぶ (半導体シリーズ)
- 作者: 吉田晴彦
- 出版社/メーカー: CQ出版
- 発売日: 2010/02/01
- メディア: 単行本
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回路設計を勉強するというより、どういう風にプロジェクトを進めるかの参考になる本でした。テストとかスペックの決め方など割と実務的なことが書いてあります。こういう実務的な内容を学べる本はあまり多くないので、読む価値はあったと思います。回路設計自体は他の教科書に書いてある内容(ラザビ本など)なので、流し読みする感じでした。
回路設計の常識が書いてある本。私が最初に読んだ感想としては、まあそうだよねという感じだったので「常識」が書いてあるんだと思います。個人的にはちょっと物足りない感じだったんですが、回路設計を始めたばかりの人には良い本だと思います。ちなみにESDとかインピーダンスマッチングのところはやや言葉足らずな感じがする(薄い本なのでしょうがない)ので、他の本で勉強したほうがよいと思います。
この本はデジタルの本なんですが、一般教養として知っておくと良いことがたくさん書いてあります。アナログ回路をやりたくてもデジタル回路を使うことが結構あるので、 知っていて損ではないと思います。
レベル的には基礎よりな感じだと思うので、日本語だしサクッと読んでおくと良いかもしれません。私は困ったときに辞書的に(配線遅延のモデルを確認したり&デジタル回路のリーク電流を考えたりする時など)使っています。
基礎編と同じです。どうして2冊に分かれているのかよくわかりません。(原著は1冊) 日本語だし、とりあえず1回読んで見る価値はあると思います。
わりと最新のラザビ本。無線関係をやりたいならこの本はかなり良いです!BluetoothとかWifiのチップを自作してみたい人におすすめです。無線通信の基礎から無線トランシーバーのアーキテクチャまでカバーされています。内容はなかなかヘビーですが、基礎編の内容は無線関係をやりたいならカバーしておくべきな気がします。電気系の学部4年生くらいなら読めるレベルだと思います。
応用編は無線トランシーバーの各ブロックについて詳しく書いてあります。私は何度か一通り読んだけど、特に必要ないなら教養程度に知っておけば良いかなという気がします。 難易度的にはなかなかヘビーな感じです。まあ日本語なので1度読んでみることをおすすめします。
無線関係の回路設計についてわりと良くまとまっています。ただし、上で紹介したラザビ先生のRFマイクロエレクトロニクスを読んでいれば、わざわざこの本を読む必要もないかなと思います。
基礎編と同じ